契約社員は、契約期限が来ればいつ契約終了されても仕方ないのでしょうか?

これは大きな誤解です。単に契約期限が来たという理由だけで有期労働契約を終了(雇止め)するのは違法となる可能性があります。

まず法律の基本的な考え方は以下のとおりです。

有期労働契約というのは、文字どおり期間の定めのある労働契約ですから、一定期間をあらかじめ定めて労働者を雇用するという契約です。

例えば6か月の期間を定めて労働契約を締結しておきながら、これを何回も更新することで実質的に無期労働契約の労働者と同様の業務に就かせることは、そもそも契約の趣旨に反しており、法律上不適切な契約方法です。

労働契約法17条2項に「使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。」とあるように、短い期間を定めて実際には何回も反復して更新するのは、違法な扱いです。

  • では、どんな場合に、契約期限が来たとの理由で有期労働契約を終了(雇止め)するのが違法になるのでしょうか?

既に何回も反復して契約を更新しており、いつまで更新され続けるのかについて、労働者に十分な情報提供をしていない場合は、違法となる可能性が高いと言えます。この場合、労働者から見て契約更新を期待するのが合理的と言えるからです。

このような場合、「有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由がある」(労働契約法第19条2号)と認められる可能性が高くなるため、労働者が契約更新を申し込むと使用者は拒絶できません。つまり、労働契約を終了することはできず、法律上、強制的に契約更新されます。

  • 逆に、合法的に有期労働契約を終了(雇止め)するには何が必要なのでしょうか?

労働者が契約更新の合理的期待を持たないよう、あらかじめ労働者に情報提供をすることが必要です。

「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平成15年10月22日厚生労働省告示第357号)によれば、有期労働契約締結時に、「当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない」、「当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない」とされます。つまり、契約更新の期待について労働者と使用者の認識を一致させるような努力をする必要があるということです。これが適切に行われていれば、契約更新の合理的期待が形成されることはないので、期限の到来によって労働契約を終了しても違法となりません。