Case 1:外資系企業の名ばかり管理職に対するリストラ
外資系企業エンジニアで「マネージャー」の肩書を持つ方
外資系企業のエンジニアで「マネージャー」の肩書を持つ方が、会社から「業績が悪いので、あなたの部署は廃止し、他部門に統合する。したがって、ポジションはもうない。」と言われ、退職合意書に署名するよう求められました。この方は自分が解雇されたと思って私に相談してきたのですが、よく聞いてみると、限りなく解雇に近い退職勧奨と言える状況でした。
まず当職は、退職合意書に署名しないよう助言し、業績を理由にポジションがなくなるということから、整理解雇の可能性があるかを確認しました。
同じ日にリストラを告げられた財務部門の方にご協力いただき、英語で作成された様々な財務資料を用いて会社の財務状態を調べたところ、売上が予算を下回るものの、利益は出ていることがわかりました。また、米国本社がインターネット上で公開するプレスリリースでの財務報告を確認し、米国本社の財務状態も極めて良好であることを確認しました。
このため、基本的に整理解雇は難しいと考え、会社に対し、内容証明郵便で通知書を送り、労働契約上の地位確認請求を行いました。
会社側の代理人弁護士と交渉したところ、相手方は、仮に整理解雇しても有効な状況だと主張するので、会社の財務状態を調べたかと尋ねると、調べてないとのことでした。さらに、相手方は給与3ヶ月分の解決金と引き換えに退職するか、給与減額の上で配置転換を受け入れるか、そうでなければ解雇すると書面で伝えてきました。
そこで当職は、次回の代理人間交渉時に、口頭で売上や利益の状況や予算の達成状況などを伝え、さらに「マネージャー」とは名ばかりで労働基準法上の「管理監督者」の要件を満たさないので、過去2年間の残業代を払うよう求めたところ、次の交渉時には相手方の態度がコロリと変わり、解決金の額を大幅に上げて給与の12か月分を払うとのことでした。
結果として、依頼を受けてから約1か月半で、給与の12か月分に相当する解決金支払いと引き換えに合意退職する旨の英文での和解契約書を作成し、締結しました。
Case 2:能力不足に基づく解雇
外資系アパレル企業従業員
日系アパレル企業から外資系アパレル企業に転職した依頼者が、6ヶ月間の試用期間を経たところ、会社から試用期間を3ヶ月延長すると告げられました。理由は、想定していた能力があるとは認められないからということで、そのままこれを受け入れたところ、3ヶ月後に試用期間の再延長が告げられました。
そこで依頼者が試用期間の再延長を受け入れない旨を会社に伝えると、会社は依頼者に解雇を通知しました。
当職が代理人として受任通知を出して解雇無効による地位確認請求をすると、会社は大量の証拠を添付して、解雇が有効である旨を回答してきました。
そこで当職と依頼者は労働審判を申し立て、依頼者の能力不足が認められないことを主張しました。
会社は、予算対比で担当業務の業績が悪いことを主張しましたが、当方は、そもそも昨年度予算に比較して今年度予算が根拠なく強気の見通しだったこと、依頼者が担当する商品と同様の商品に関する過去の実績と比較してむしろ業績が良いこと、年間の業務フローの過程で他部門との交渉が数値上の成果を上げていた事実などを裁判所に説明し、結果として給与10か月分の解決金と引き換えに退職合意することとになりました。
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